「聞く耳のある者は聞きなさい」 加藤智恵牧師

ルカによる福音書 8章4~15節   箴言  3章1~8節

当時の種まきは、人間が肩から掛けた袋の中から種を取り出して、歩きながらばら蒔きました。原始的な方法だったのです。そして種を蒔いてから地面に鍬を入れたので、種は道端や岩地や茨の中にも落ちました。そのため種の無駄が多く、収穫は10倍位が平均でした。主イエスは群衆に、種を蒔く人が種蒔きに出かけた話をします。無駄な種蒔きに終った例として、道端に落ちた種、石地に落ちた種、茨に覆われた種をあげます。最後に良い土地に落ちた種が実を結ぶと言いました。このように群衆に種蒔きの譬えを話してから、「聞く耳のある者は聞きなさい」と叫ばれました。岩波文庫のトレードマークは、袋を肩からさげた青年が種を蒔く絵ですが、この岩波文庫の本の塚本虎二訳の新約聖書『福音書』では、「聞く耳のある者は聞きなさい」という所を「耳の聞こえる者は聞け」と訳しています。ここでは、「耳の聞こえる者」とは、「イエス様の言っている内容が良く分かる人」の事を言っているのです。そのような人は心が真っ直ぐで、人の言っていることが的確に分かる人です。群衆の中でも僅かな人は聞く耳を持ち、主イエスを信じる信仰が養われていったならば、それは大変嬉しい事です。
ところで、弟子たちは「この譬えはどんな意味があるのですか」と主イエスに尋ねました。弟子たちの問いに答えて、主イエスは種蒔きの譬を教えられました。種は神のみ言葉です。土地とは聞く者の心を言っています。悪魔が来てみ言葉を奪って行く人がいます。試練が来ると身を引いてしまう人がいます。人生の思い煩いや快楽に心が奪われて実が熟さない人がいます。しかし、「良い土地に落ちた種は善い心でみ言葉を聞き、その事をよく守り、忍耐して実を結ぶ人たちのことである」と主イエスは答えています。良い実を結ぶ人とは、主イエスから聞いた事を良く守る人です。そして忍耐をします。離れようとする心が瞬時に襲っても忍耐して、決してそのような心に負ける事なく守り通し、実を結ぶ人です。
次に箴言の言葉から聞きたいと思います。「そうすれば」という言葉が4回使われています。良い実を結ぶための条件が4つ書かれています。1番目は、主の教えを忘れてはならない。そうすれば、長生きをし、平安に生きる事が出来るのです。2番目は、慈しみと真を首に結び、心の板に書き記す事です。そうすれば、神と人から良く思われ、する事が成功すると言っています。3番目は、自分の常識よりも神の言葉に信頼する事です。そうすれば、主は行くべき道筋を真っ直ぐにして下さるのです。4番目は、主を恐れて悪を避けなさい、と言っています。そうすれば、健康になり若々しさを保つことが出来るのです。
高齢になっても若々しさを保ち、健康でありたいと私たちは願っています。神様は私たちに良い物を下さろうとしています。様々な事がありますが、しっかりと主の言葉を守り、良い実を結ぶ私たちでありたいと願います。

 

説教要旨(2月17日)