「わたしについてきなさい」

加藤 智恵 牧師   マタイによる福音書 4章18~25節

 

 イエス様は洗礼者ヨハネから洗礼を受けた時に、聖霊が鳩のような姿をとって、ご自分の所に注がれるのを目撃しました。聖霊によって力を受けたイエス様は、悪魔からの誘惑に完全に勝利されました。そしてイエス様はいよいよ公生涯に入られます。イエス様の宣教は異邦人のガリラヤと蔑まれていたガリラヤから伝道が開始されます。イザヤ書8章の最後から9章の1節に書かれてある預言「先にゼブルンの地、ナフタリの地は辱めを受けたが、後には海沿いの道、ヨルダンの彼方、異邦人のガリラヤは栄光を受ける。闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に光が輝いた」が成就しました。このように最も暗い所に住んでいる民に、光が輝いたのです。主なる神は、暗闇に住む民を照らすために、真っ先にガリラヤに来られたのです。

 ガリラヤ地方は、紀元前8世紀にアッシリヤに侵略され、ユダヤ人は捕虜としてアッシリヤに連行され、アッシリヤ人が移住しました。このためガリラヤ人には異邦人の血が混じり、異邦人のガリラヤと軽蔑されていました。ガリラヤ人は異邦人から偶像崇拝を教えられて、真の神から離れ、「暗闇の中に座り」「死の地と死の陰に座って」いる悲惨な人々と見られていました。しかし、義の太陽であるメシアの光が彼らの上に昇り、彼らは偉大な光を見たのです。

 イエス様はガリラヤ湖の畔を歩いておられた時に、ペトロとアンデレの兄弟が網を打っているのをご覧になりました。そして「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われます。神様から「わたしについて来なさい」との呼び掛けを聞いた者は、こうしてはいられない。今、自分のしていることを全て捨てて、従わなければならない、という思いに支配されるようになります。主イエスはそこから進んで、別の兄弟ゼベダイの子ヤコブとヨハネが父親のゼベダイと一緒に網の手入れをしているのをご覧になると、かれらにも「わたしについて来なさい」とお呼びになりました。すると、この二人も船と父親を残して、すぐにイエス様に従いました。この4人の弟子の中で、ペトロ、ヨハネ、ヤコブの3人は、いつもイエス様と行動を共にしています。山上の変貌の時、山に同行しました。またゲッセマネの園でイエス様が祈られた時にも、3人は他の弟子たちより近くにいました。イエス様の復活の話を聞いて、墓に走って行ったのはペトロとヨハネでした。このように宣教の最初に、イエス様は4人の弟子を選ばれ、次に本格的に福音宣教を開始されます。

 イエス様はガリラヤ中の諸教会で聖書を教えます。また、御国の福音を宣べ伝えます。そして次に、民衆のあらゆる病気や煩いを癒されます。そしてガリラヤばかりでなく、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、ヨルダンの向こう側から来た人々の病を全て癒されました。そして大勢の人々が、イエスに従いました。

真の光は最も蔑まれている異邦人のガリラヤから輝き出したのです。

説教要旨(1月17日)