加藤 智恵牧師
「人を分け隔てしてはならない」   ヤコブの手紙 21章1~7節

ヤコブの手紙を書いた人は、初代教会、聖霊の降臨によって生まれたエルサレム教会の指導者だった、主イエスの弟ヤコブであったという説があります。文面から主イエスと一緒にいた幼い時から生活を共にしていたヤコブは、兄の主イエスの行いを見ながら育ったと思われます。信仰に基づく行いを強調しています。父ヨセフも母マリアも信仰深い人でした。主イエスは兄でもありました。貧しい中にも、愛と喜びに満ちた家庭であったに違いありません。そのような環境に育ったヤコブは、貧しい人たちを差別している金持ちのクリスチャンを知って、これはとんでもない事だと思ったに違いありません。
「あなたがたの集まりに、金の指輪をはめた立派な身なりの人が入って来、また、汚らしい服装の貧しい人も入って来るとします。その立派な身なりの人に特別に目を留めて、あなたは、こちらの席にお掛けください、と言い、貧しい人には、あなたはそこに立っているか、わたしの足もとに座るかしていなさい、と差別するなら、誤った考えに基づいて判断をしたことになります」(2~4節)。このように言われた貧しい人たちは、教会には行きたくなくなるでしょう。差別と偏見のある教会に誰が行くでしょうか。また、この様な言葉は、金持ちでも心ある人にはとてもいやな言葉です。教会は貧しい人や心身にハンディを持った人も皆平等に、「私はここにいてもいいんだ」と思える所であらねばなりません。皆、神から招かれた人なのです。
神は世の貧しい人たちを敢えて選んで信仰に富ませ、神の御国を受け継ぐ者とされたのです。神は人間とは違い、貧しい者、弱い者の味方です。
申命記7章7節には、「主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは、他のどの民よりも貧弱であった。」と書いてあります。神が宝の民として選ばれた民は、他のどの民よりも貧弱であったのです。そのような民を選び信仰に富む者とされました。
私たちは、人を分け隔て、つまり差別、偏見を持ってはいけません。苦しんでいる人、弱い立場にいる人たちに、心を向けて行かなければならない事を、神は願っています。

説教要旨(10月13日)