「誘惑を受ける」 加藤智恵牧師
ルカによる福音書 4章1~13節 申命記 6章10~19節
3月6日(水)は灰の水曜日でした。灰は悔い改めのしるしです。灰の水曜日の儀式では、一人一人の額に灰が塗り付けられ、「あなたは塵であり、塵に帰るのだということを想い起こしなさい」あるいは「あなたの生活を作り直し、福音を信じなさい」と告げられます。そうする事によって、これから受難節が始まるのだ、と思ってキリストの苦しみを偲びます。
本日は受難節の第一聖日で、主イエスが悪魔から3つの誘惑を受ける箇所です。主イエスが洗礼を受けられた時に、聖霊が鳩のような姿をとって主イエスの上に降って来ました。そして「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が聞こえました。これはイエスが神の子であるという宣言です。悪魔から誘惑を受ける事によって、主イエスが一層神の子であることが明らかにされる為の誘惑です。
第一の誘惑はパンの誘惑です。40日間悪魔から誘惑を受け、その間、何も食べずにいました。悪魔は石をパンになるように命じたらどうか、と迫ります。それに対し主イエスは「人はパンだけで生きるのではなく、人は主の口から出る全ての言葉によって生きる」と聖書を引用して誘惑を退けました。第二の誘惑は権威への誘惑です。悪魔は自分を拝むなら国々の一切の権威を与えようと迫ります。それに対し主イエスは「あなたの神、主を畏れ、主にのみ仕え、その御名によって誓いなさい」とこれも聖書を引用して退けます。純粋に神のみを拝み、神のみに仕える事が悪魔の誘惑を退ける最善の道なのです。第三の誘惑は宗教に対する誘惑です。悪魔は聖書に書いてある言葉を用いて、エルサレムの神殿から飛び降りても、天使が手であなたを支えだろうと神を試すようにそそのかします。この誘惑に対し、主イエスは「あなたの神である主を試してはならない」と申命記6章16節を用いて悪魔の誘惑を退けます。
主イエスは神であり人間であります。神であるなら悪魔に負けていません。しかし、主イエスは自ら人間としての道を選ばれて悪魔の挑戦を受けました。アダムはエデンの園で悪魔の誘惑に負けて神の言葉に背きました。しかし、主イエスは神の言葉を用いて悪魔に完全に勝利しました。悪魔に誘惑されるのは、私たちの心がこの世の物を欲する時に誘惑が来るのです。神の御言葉によってそれを退けることが求められています。
私たちはこのような主イエスに罪赦されて神の子として頂きました。日々言葉や行いにおいて反省させられる事が多い私たちですが、少しでも悔い改めて主イエスに付いて行きたいと思います。