「真実の神、永遠の命」

加藤 智恵牧師   ヨハネの手紙 一 5章10~21節

 

 ヨハネは生前のイエスに選ばれて十二使徒となりました。主イエスと3年間生活をし、主イエスにさわり、共に食事をし、主イエスの癒しの業を目撃し、何よりも主の愛に触れた人でした。肉体的命の大切さと同時に、永遠の命のあることを、主イエスの復活と昇天によって体験し、キリストが永遠の命であり、キリストを信じる者に与えられる永遠の命があることを確信していました。

 本日の聖書個所の5章10節には、神の子を信じる人は、神が永遠の命を私たちに与えられたこと、そして、この命が御子イエス・キリストにあることの証しを持っています。一般の人には罪ということがなかなか理解出来ないのです。自分は何も悪いことをしていない。真面目に生きていると思っています。しかし、イエス様が罪としている事は、自己中心に生きていて、人のことなど気に留めない人、苦しんでいる人を見ても、自己責任として何らの同情も感じない人のことです。心の冷たい愛の無い人のことです。生まれながらの人間には、罪が備わっているのです。

 神の御子であるキリストと結ばれている人は、永遠の命を与えられています。ヨハネはその事を知らせたいために、クリスチャンとなった人々に手紙を書きました。何事でも、神の御心に適う事を願うならば、神様は聞き入れて下さいます。ヨハネは神に願ったことは、既に叶えられていることも分かります、と確信をもって言い切っています。

 18節、19節、20節には、「わたしは知っています」という言葉が繰り返し使われています。これは、キリストをしっかりと信じ、確かな信仰に立っている人々と共有するヨハネの宣言とも言える言葉です。18節では、私たちは神から生まれた方である主イエスの守りがあるので、悪いもの、つまり悪魔はクリスチャンを誘惑しても、捕まえることは出来ない、という事を知っています、という宣言です。19節では、私たちは神に属する者であるが、この世全体が悪い者の支配の下にあるのです、という宣言です。その絶望的なこの世にあって、わたしたちは、「神からの者」として世に勝つのです。20節では、神の御子イエス・キリストがこの世に来て下さったから、わたしたちは神からの者とされたのです。そして、イエス・キリストは真実な方、つまり本物の神を知る理解力を与えて下さいました。この方こそ「真実の神、永遠の命」なのです。

 ヨハネは最後に愛情を込めて、「子たちよ、偶像を避けなさい」と呼びかけています。偶像とは、イエス・キリストを否定する全てのものです。偶像の背後には、悪魔の働きがあります。私たちは神の陣地からはみ出さないように注意し、神の守りの中で豊かな実を結ぶように努めてゆきたいと思います。

説教要旨(9月13日)