「神の御心に従う」  加藤 智恵牧師
ヨハネによる福音書 8章51~59節  創世記 12章1~9節

ユダヤ人指導者たちは、イエス様から「あなたたちは悪魔である父から出たものであって、その父の欲望を満たしたいと思っている」と言われ、ますます心を頑なにし、主イエスに敵意を抱くようになります。ユダヤ人は「あなたはサマリヤ人で、異教の神を信じている者だ。しかし、我々はユダヤ人の宗教を信じており、最高法院の議員でもある。我々はれっきとした肩書きを持っている。だから我々があなたは悪魔に取り付かれているというのも当然ではないか」と言い返します。主イエスが「はっきり言っておく。わたしの言葉を守るなら、その人は決して死を味わうことが無い」と言うと、ユダヤ人は言います。「あなたが悪魔に取り付かれていることが今はっきりした。アブラハムは死んだし、預言者たちも死んだ。ところが、あなたは『わたしの言葉を守るなら、その人は決して死を味わうことが無い』と言う。」死を味わうことが無いという教えを聞いて、ユダヤ人の非難はますます燃え上がりました。主イエスは永遠の命について言われたのですが、彼らには理解出来ずに、聖書も神の力も知らないことを自ら暴露してしまいました。
主イエスは「あなたたちの父アブラハムは、わたしの日を見るのを楽しみにしていた。そして、それを見て喜んだのである」と言いました。主イエスによって、救いの日が実現したことを喜んだのです。神が肉体をとって、この世に生まれる日を楽しみにしていました。そして、それが実現したので喜んだのです。それを聞いてユダヤ人は「あなたはまだ、50歳にもならないのに、アブラハムを見たのか」と言うと、主イエスは「はっきり言っておく。アブラハムが生まれる前から、わたしはある」と答えます。ユダヤ人は主イエスの言葉に耐えられなくなって、石打ちの刑でイエスを殺そうとしました。しかし、イエスの時はまだ来ていませんでしたから、イエスは神殿の境内から難なく出て行かれました。
旧約の創世記に移ります。アブラムは「あなたは生まれ故郷父の家を離れて、わたしが示す地に行きなさい」と主から召命を受けます。アブラムはこの言葉に従って、行く道を知らずに旅立ちました。召命に従うということは、大変なことのようですが、祝福の約束が伴っています。アブラムは見えるものによらず、神の約束を信じて素直に従ったのです。神はカナンの地に行くことを示されました。そしてカナンの地に入りました。アブラムは神の命ずるままに主のための祭壇を築きました。アブラムはそこで祈りを捧げます。祈りは主の御言葉への応答であり、自分の熱心さによるのではなく、自分の欲望のためにでもなく、主の御心がなるようにとの祈りでした。アブラムのように、神の御心に従って主への信仰の証しをし、絶えず主の御名によって祈るところに、神は働かれることを覚えたいと思います。

説教要旨(11月10日)