「忍耐強く」 加藤智恵牧師
ヘブライ人への手紙  11章32節~12章2節
士師記  7章1~8節、19~23節

ヘブライ人への手紙には、宛先も挨拶の言葉も書いてありません。また、誰が書いたのかも分かりません。しかし、内容は聖書の事を詳しく知っている人が書いたことが分かります。本日の聖書個所の11章には信仰について書いてあります。信仰という言葉が21回も出て来ます。冒頭の1節は「信仰とは望んでいることがらを確信し、見えない事実を確認することです」から始まります。とても教えられる言葉です。また11章には、旧約時代に信仰によって義とされた人々を列挙して、その信仰をほめたたえています。「これ以上、何を話そう」と言って、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、ダビデ、サムエル、また預言者たちのことを語るなら、時間が足りないでしょう、と書いてあります。ヘブライ人への手紙を書いた人は、聖書に習熟した人であることが分かります。これらの人々は信仰によって、素晴らしい働きをしましたが、また、そのために受ける苦しみや迫害や殉教までしたのです。このような多くの旧約時代の人々は、信仰のゆえに神に認められながらも、約束のものを手に入れませんでした。神は私たちのために更に勝ったものを計画しておられたのです。それは新約時代の私たちにキリストの復活ということを計画して下さったので、キリストの復活の無い昔の信仰の偉人たちは、完全な状態に達していませんでした。
私たちの信仰は、マラソンレースに譬えられます。神の玉座の右にお座りになった信仰の創始者、完成者であるイエスを見つめつつ、私たちは主イエスが共にいて助けて下さいますから、その主に頼りながら、自分に示された信仰の道を忍耐強く走り抜きたいと思います。
旧約聖書の士師記には、信仰によって義とされたギデオンという信仰の指導者について書いてあります。当時、イスラエルでは近隣諸国を荒らし回っていたミディアン人との戦いが繰り返されていました。ギデオンは主の使いから、イスラエルを救う指導者となるように告げられました。ギデオンは主の召命に応えて、ミディアン人との戦いに備えます。神は人が勝利を自分の功績と思わないように、ギデオンの軍隊を32,000人から300人に減らすように命じられます。まず、「おののいている者は皆帰れ」と兵をふるいにかけられます。10,000人の兵が残りました。主は「民はまだ多すぎる」とギデオンに言われます。続いて水辺で水を飲む姿で民を選抜させられます。水辺で水を飲むのに、かがんで舌で犬のように水をなめる者は失格します。手で水を飲んだ300人が残されました。ギデオンはわずか300人の兵でミディアン人に立ち向かうことになります。ここにギデオンの信仰を見ます。300人を3つに分けた隊は、右手には吹き鳴らす角笛を、左手には松明を握り締め、「主のために、ギデオンのために剣を」と叫びながら、敵を攻撃します。ミディアン人はこれを聞いて、同士討ちをして敗走します。これは主の闘いです。ギデオンがしっかりと神の言葉に聴き従ったから、勝利をもたらしたのです。
神を信頼し、祈り、神の言葉を聖書を通して聞き、忍耐強く従うところに、私たちクリスチャンの勝利があるのです。

説教要旨(10月20日)