「異邦人の救い」   加藤智恵牧師
使徒言行録  11章4~18節   ルツ記  1章1~18節

ペトロは地中海に面したヤッファの町の皮なめし職人シモンの家に滞在しました。ペトロはその家の屋上において、幻で天が開き、大きな布のような入れ物が降りてくるのを見ました。そして「ペトロ、身を起こして食べなさい」という声が聞こえて来ました。そこには律法で禁じられている食べ物が入っていました。ペトロは「主よ、とんでもないことです。清くない物、汚れた物など食べたことがありません」と答えました。ペトロは自分の事を「罪深い者」と何度も言っていましたが、律法はしっかりと守っていました。すると、また「神が清めた物を清くないなどと言ってはならない」という言葉が聞こえました。このことが3度もありました。主イエスが3度の受難予告をしたことが実現したように、今や汚れた食べ物は無く、律法の束縛から解放され、ユダヤ人は何を食べても良くなったという事です。そのことは汚れていると見られている異邦人にも聖霊が降り、洗礼を受けて神の子となる資格が与えられると神はペトロに知らせたのです。
使徒たちとユダヤにいる兄弟たちは、異邦人も神の言葉を受け入れたことを耳にしました。そこで割礼を受けている者たちは、ペトロがエルサレムに上って来た時「あなたは割礼を受けていない者たちの所に行き、一緒に食事をした」と言ってペトロを非難しました。ユダヤ人たちは異邦人たちと交際したり、食事を共にしたりすることは禁じられていたので、兄弟たちに責められるのは当然の事でした。そこでペトロはエルサレム教会の人たちに、事の次第を順序正しく説明しました。ペトロの言葉には、聖霊が働いていました。それで反対する者は一人も無く、聞いた人々は静まり「それでは神は異邦人をも悔い改めさせ、命を与えて下さったのだ」と神を賛美しました。
このようにして異邦人も救われることを、ペトロを通してエルサレムに住む兄弟たちにも伝えられました。2000年の歴史の中で、神はキリストの教えを絶えることなく導いて下さいました。そしてこれからも途絶える事無く、再臨の日まで導いて下さるのです。
旧約のルツ記は士師が治めていた頃とありますから、イエス様がお生れになる時より1000年以上も前の話です。ナオミは夫と息子と共に、飢饉がひどかったので、ユダのベツレヘムからモアブに移り住みました。その地で2人の息子は嫁をめとりました。ところが夫と息子に死なれてしまいます。ナオミはもとのユダの地に戻ることにしました。嫁の一人のルツはあなたの民は私の民、あなたの神は私の神と言って、ナオミにどうしてもついて行くと言って聞きませんでした。ルツは生活を支えるために落穂拾いをします。ナオミの夫エリメレクの一族には一人の有力な親戚がいて、その名をボアズと言いました。ボアズは自分の畑で落穂を拾うことを勧めます。異邦人でありながら、素晴らしい嫁と思っていたようです。そして多くの手続きをして、ルツはボアズの妻となるのです。ダビデ王はボアズとルツのひ孫です。ダビデ王の家系には異邦人のルツの血が入っています。この系図からイエス様が生れます。ルツ記は旧約聖書における最も美しい文学作品であり、モアブの女ルツのひたむきな信仰と愛が書かれています。それと共に、異邦人の血がダビデの系図の中に入ってきます。

説教要旨(7月14日)